10月26日、iPhoneXR発売。iPhoneXSの廉価モデルながらA12 bionic搭載する魅力とは

2018年10月26日、iPhoneXRが発売されます。iPhoneXRは、すでに発売しているiPhoneXS、iPhone XS Maxよりも価格を抑えたモデルでありながら、FaceID、ぼかし機能、そしてXSシリーズと同じA12 bionicを搭載しており、性能面で引けを取らないモデルとなっています。さらに、イエローやブルーなど、スマートフォンではあまりないポップなカラーバリエーションがあることも、ファッション性が高く魅力の一つと言えます。

廉価モデルながらXSと同じA12 Bionicを搭載

iPhoneXRは、iPhoneの心臓とも言えるCPUやGPUを統合したチップ部分に、XSシリーズと同じA12 bionicを搭載しています。A12 Bionicは、プロセスルールが変わったこともあり、1年前のA11 Bionicと比べても段違いの性能で、過去最大級の性能の飛躍を遂げています。

A12 Bionicについて、詳しくは以下の記事にまとめています。
過去最大の性能アップ『A12 Bionic』設計に見るAppleが考えるモバイルの未来

A12 Bionicの性能の凄さ

最新のAndroidのフラグシップモデルに搭載される、Snapdragon 845、また10月に発表されたばかりで、ファーウェイの最新機種に搭載されるKirin 980と比較しても、A12 Bionicはずば抜けた性能を見せています。

Geekbench4の比較。メモリによる差は多少あれど、シングルコア・マルチコア共に圧倒している。驚くのは1年前のモデルであるiPhoneX(A11 Bionic搭載)でも他の機種に優っていること。(出典:www.phonearena.com)
AnTuTuベンチでも他機種を圧倒。(出典:www.phonearena.com)
3D ゲームなどGPUの性能を測ることができるGFXBench。メモリ性能やチューニングなのか、Galaxy Note9が善戦しているものの、A11 Bionicでも追い抜けていない。(出典:www.phonearena.com)

アップルの強みは、ハードウェア、チップ、ソフトウェアの全てを自社で作っていることで、チップの能力を最大現に生かしていることにあります。1年前のA11 Bionicでも、他機種にまさっているのは、その強みが生かされていることもあるでしょう。

A12 Bionicはこの先の“のびしろ”がある

機械学習による恩恵

iPhoneXRは、単眼のカメラでありながら、ぼかし機能が実装されています。これは、A12 Bionicに搭載されたニューラルエンジンによる機械学習によって、人と背景を判別し、自然なぼかしができるためです。

このニューラルエンジンは、A12 Bionicにおける核とも言える部分で、カメラ以外には、写真の検索機能の強化、AR Kit2、FaceIDの高速化において力を発揮しています。前モデルのA11 Bionicと比べてCPUやGPUが1.5倍ほどの性能アップに対して、9倍の性能アップをしていることからも、かなり力を入れていることがわかります。

今後のアップデートや、サードデベロッパーによるアプリの提供が活発になれば、ニューラルエンジンの性能による恩恵をもっと得られると思われます。

寿命の長い端末になる

A12 Bionic性能の高さは、他の端末と比べても圧倒的に高いのですが、現状のiPhoneの求めるスペックに対しても、高すぎる性能であるとも言えます。性能を持て余しており、搭載している機能をフルに生かしきれていません。

この先、要求度の高い3Dゲームや、ARの機能、また強力なニューラルエンジンを生かした機能をリリースするにあたっても、安心できるということです。

発売から1年が経過した前モデルのA11 Bionicが、最新のAndroidを上回っていることからわかるように、おそらく2年先でもフラグシップの端末に近い使い勝手を維持できるため、寿命の長い端末になると言えます。

バッテリーの劣化は気になるところですが、これまでのチップに対して消費電力が落ちているため、多少はバッテリーへの負荷は減るのではないかと考えられます。また、画面割れなどの修理費用に対して、7,800 円とバッテリーの交換費用は割安になっています。

A12 Bionicが普及することで新しいサービスがリリースされる可能性

iOS12にはAR Kit2をはじめとした新しい機能が実装されている一方で、古くは5年前に発売されたiPhone5sまで幅広くサポートしています。古い機種まで提供されていることはユーザーからすればありがたいことですが、逆を取れば最新機種の性能を生かした機能を、普遍的にリリースすることができないということでもあります。

特にiPhoneXから搭載されたニューラルエンジンについては、全ての機種にニューラルエンジンがある前提か、そうでないかで状況が大きく変わってきます。iOSの端末にニューラルエンジンが当たり前に入っている時代がきたときに、ニューラルエンジンをフルに生かした機能、例えばAR Kit 3などが出て来る際にその恩恵を受けられると言えます。

AR Kit2のデモ。ARのオブジェクトである金属の鉢に、実在するバナナが写り込んでいる。

新型iPhoneと同時リリース『iOS12』から読み取るAppleの考えるARとは

A12 Bionicの魅力だけでも買いの価格

iPhoneXSと比べて、2倍ズームの望遠レンズ、有機ELのスクリーン、3D Touchがないという点はあるものの、チップセットの性能において差はありません。

iPhoneXRの価格は、84,800円(税別)からで、一番容量の多い256GBでも101,800 円(税別)です。

iPhoneXSは、一番安い64GBモデルでも112,800円(税別)であるため、一番容量の多い機種を選んでも1万円安く買うことができます。A12 Bionicの魅力だけでも買いの価格といえるでしょう。

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