2019年2月27日、Facebook社のOculusチームの公式ブログにて『Oculus Quest(オキュラスクエスト)』のコンテンツ審査規定について発表されました。これまでの、『Oculus Rift(オキュラスリフト)』『Oculus Go(オキュラスゴー)』とは違い、企画の提出をもとめられFacebook社は「クオリティを重視し、これまでで最も審査が厳しくなるだろう」としています。
ソフトウェアのクオリティが上がることはユーザーにとってメリットがある一方で、厳密な審査には世界・日本のクリエイターからも懸念されています。
『Oculus Quest』のコンテンツ審査規定とは
Oculus Quest向けコンテンツを開発したいデベロッパーは、まずFacebook社へ『企画書』を提出する必要があります。企画書を出さなければ、非公開の開発情報知ったり、そもそもストアへの登録情報を知ることさえできません。
企画書には、コンテンツのクオリティの証明や市場での成功可能性、安全性といった内容などを盛り込む必要があります。またOculus Questのコンテンツガイドラインも掲げており、特に、VRの中で深く、驚き楽しく、自由に動き回れるOculus Questの特性を生かしたコンテンツを求めているとしています。
日本発・日本ならではのVRコンテンツがリリースしにくくなる懸念
Facebookは、事前に企画書で審査することでコンテンツ開発の手間を省けると、開発者へのメリットも説明しています。一方で世界の開発者の中には『黎明期であるVRコンテンツの良し悪しがFacebook基準になる』ということに懸念を抱いている方もいます。特に日本発・日本ならではのVRコンテンツには不利になる可能性があるのではないかとVRADV『東京クロノス』の総合プロデューサー岸上健人氏は懸念をnoteで発表しています。
Facebookの価値観に合わないコンテンツは、企画書で弾かれてしまうということは、日本的なVRコンテンツは、そもそもスタートラインに立てなくなるかもしれない可能性があります。
例として、noteの中で岸上氏は過去にOculus Go向けにリリースされた日本初コンテンツがFacebookに理解され難かった例に触れています。
また、Oculus Questの特徴でもある自由に動き回れるという部分をFacebookは重視していますが、広さを確保しにくい日本の住宅事情を考えたコンテンツだと、Facebookの求める動ける自由さにそぐわない可能性もあります。
それでもOculus Questは魅力的
こういった懸念点はありつつも、開発者にとってOculus QuestはVRHMDの中でも魅力的なプラットホームです。Oculus Questが2019年のVR業界を牽引し、2019年こそVR元年と言わしめるハードウェアになるだろうとアナリストも予測しています。Oculus Questが初めてのVRとなる人も多く生まれる中で、Facebook社がガイドラインを設けたくなるのも理解できます。
開発者の方の苦労は絶えないかもしれませんが、リリースされればユーザーは『コンテンツを購入する』という形で答えることができます。開発者の方々の努力が結実し、いちユーザーとしてOculus Questを楽しめる日が来ることが待ち遠しく思えます。