2018年12月13日、AMDは同社製GPU向けドライバソフトウェアの大規模アップデート『Radeon Software Adrenalin 2019 Edition』を発表しました。
今回のアップデートでは、既存機能のアップデートだけでなく、新機能も多く含まれています。
注目となるのは、PCゲームをスマートフォンでリモートプレイできる機能『Game Streaming』。そして、モバイルVRや『Oculus Go』などをはじめとするスタンドアローン型VRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)で、PCVRをリモートプレイできるようになる機能『ReLive for VR』が新しく搭載されることです。
PC用VRソフトウェアを『Oculus Go』でリモートプレイできる
『ReLive for VR』は、『Oculus Go』や『Vive Focus』といった、スタンドアローン型のVRHMD、スマホをセットするモバイルVRで、PC用VRソフトウェアをリモートプレイすることができる機能です。現在は、Steam VR対応タイトルが利用できるようになるとされています。
AMDによれば、接続はギガビットクラスの無線LAN(IEEE 802.11ac)などで行い、GPUのハードウェアアクセラレーションによるストリーミングによって低遅延を実現しているほか、片目あたり最大1440×1440pxの解像度を実現できるとのことです。
VRにおいて遅延はVR酔いに直結するため、遅延がすこしでもあれば気になるものですが、海外メディアで実際にデモを体験した記者のレポートによれば、体感できるような遅延はほとんどなかったとのことです。
『ReLive for VR』に対応する機種
『ReLive for VR』は、利用可能なGPUを搭載したPCと、『Radeon ReLive VRアプリ』をインストールしたデバイスを用意することで実現できるとのことです。
『ReLive for VR』を利用可能なGPUは以下の機種となっています。
- Radeon Vegaシリーズ
- Radeon RX 590
- Radeon RX 580
- Radeon RX 570
また、現時点で対応するVRHMDデバイスとして挙げられているのは以下の4つです。
- Vive Focus
- Daydream View
- Oculus Go
- Gear VR
現在『Radeon ReLive VRアプリ』は、Google PlayストアとHTC Viveportマーケットプレイスでのみ利用できる状態ですが、AMDはすぐにOculus Storeでアプリを公開する予定であるとのことです。
本命は『Oculus Quest』など6Dof対応のHMDか
PC用VRソフトで気になるのは、コントローラーはどうするのかという点です。たとえば『Oculus Go』の場合、コントローラーは3dof対応で、また1本しかありません。
『Oculus Rift』や『HTC Vive』といったPCVR向けHMDは、6dofコントローラーを2本備えており、そのことからPC用VRコンテンツでは6dofコントローラーを利用することを前提としています。
『ReLive for VR』の設定画面には、『サードパーティ製コントローラー』を有効にするボタンが見つかっているため、AMDはコントローラーを別途用意する形で対応することを想定しているのかもしれません。
しかし、わざわざコントローラーを用意するのも費用と手間がかかります。そのことからも『ReLive for VR』の本領を発揮できる本命は、2019年に発売される『Oculus Quest』をはじめとする、6Dof対応のVRHMDになると思われます。
『Oculus Quest』は、6Dof対応の本体と、6Dof対応の2本のコントローラーを標準で備えています。また、コントローラーはPC向けの『Oculus Rift』で使われているOculus Touchコントローラーとほぼ同一の機能を有しており、操作感を損なうことなく、PCVRソフトウェアを体験することができる可能性が高いと言えます。