2020年5月12日、Epic Games, Incは次世代ゲームエンジンUnreal Engine 5(アンリアルエンジン5、UE5)』を発表しました。UE5は、次世代ゲームコンソールを見据えたゲームエンジンで、今回PlayStation5の実機上で動作・出力させているデモを公開しました。数十億ポリゴンもの映画品質のアセットを直接扱え、光源の処理の最適化など表現の部分だけでなく、ゲーム開発においても大きな進化があることが特徴です。
映画品質のポリゴンをそのまま扱える
アンリアルエンジン5(UE5)は、大きく2つの特徴があります。
数十億ポリゴンを扱える『Nanite』
Unreal Engine 5の仮想化マイクロポリゴンジオメトリ『Nanite』は、映画品質のアセットやZBrushのデータ、実写からポリゴンを生成するフォトグラメトリスキャンのデータもそのまま取り込むことができるうえ、最適化などの煩わしい作業をすることなく、高品質のまま扱うことができます。
実際のデモでは、映画レベルの数十億のポリゴンを持つアセットを扱い、劣化なしにPS5に最適化させた描画ポリゴンへとリアルタイムにストリーミング・スケーリングされていることを説明しています。
現実的な光の表現を実現する『Lumen』
『Lumen』は、精細なミリメートル単位から、広大なマップのようなキロメートルの単位まで、現実的な光の表現を実現する光源処理技術。これまでであれば、キャラクターの影を落とす、太陽の動きに合わせて影が動くといった表現をするために、光源専用のマップを用意し、それらしい影を作るということが必要でした。『Lumen』は、リアルタイムに光源処理をしてくれるため、そういった作業が必要なくなる上リアリティのある影や反射の表現ができ、また光源処理が即座に反映されるため、洞窟に穴が開き光が差し込むといった大きな環境変化の表現を、制限なくゲームに取り込むことができます。
似たようなものとしては、専用のハードウェアを必要とする光源技術『レイトレーシング』が注目されていますが(PS5・XboxXにも採用されている)、『Lumen』はレイトレーシング用のハードウェアがなくとも実現できるとのことです。
PlayStation 5の特徴である高速SSDが寄与
Epic GamesのTim Sweeney氏(創業者・CEO)は、ゲームメディアIGNの取材に対し、PS5の意欲的なSSDの設計無くしては実現しなかったと答えています。
PS5のSSDは、専用設計により1秒間で5.5GBものデータを取り出すことができ、これはPS4の150倍ちかい速度で、プレイキャラクターを操作している間もリアルタイムに大量のデータを取り出すことができます。
今回のデモでPlayStation 5からの出力が利用されたのも、PS5の特徴であるSSDの速さが背景にあることが窺われます。また、海外メディアの取材に対しては、今回のデモはプレイアブル(キャラクターを操作することができる)なもので、コロナウイルスの影響で中止になったイベントが開催されていれば、実際にユーザーにプレイしてもらう予定だったことを明かしています。
またSweeney氏は、今後PCもPS5のような高速SSDを採用していくと見込んでいることを明かしています。
粗利が100 万ドルに到達するまで Unreal Engine のロイヤリティを免除
またEpic Gamesは、これまでと同様Unreal Engine 5を無料でダウンロードして開発できるほか、粗利が100万ドル(約1.1億円)になるまでロイヤリティが免除になることを発表しました。(現在提供されているUE4も同様)
Unreal Engine 5は、2021年初頭には提供される見込みです。フルリリースは2021年後半を予定しており、PS5やXbox シリーズXほか、PC、Mac、iOS、Android をサポートするとのことです。